2009年 03月 31日
入社式でした(3) |
アラームが鳴り響いた瞬間に、辺りは阿鼻叫喚と化した。
動揺する者。箱を開けてこれが現実であることを知る物。逃げ出す者。もう既に周りからは一つ、二つと銃声が聞こえ始めた。その中で親会社の連中は結束したかのように集団になって行動し始めた。
(ヤバイ、どうする? どうすればいい? どうすることがベストだ? 動揺する? それは論外。とりあえず箱は空けてみろ。銃と地図が入ってた。これが現実だな。OK。集団で逃げる? どうやって? 周りは敵だらけだ。 周りはみんな敵で、……? 違う。落ち着け。周りがすべて敵? 前提条件をクリアしろ。集団で行動していた奴らがいた。皆が敵同士ではあるが、手を組んではならないというルールはない。一人が生き残るというルールでもないのならばその手段は有効だ。ならば誰と組む。見知らぬ奴らと組むことなどできない。少しでも、気が許せる奴らとならば――!)
思いついた瞬間に周りを見渡した。同期の連中はまだ近くにいる。ならばまず、彼らを仲間に引き込む!
すぐ近くで呆然としていた亀田を見つけた。
「亀田、大丈夫か! 怪我はないか?」
そう、声をかけた。その瞬間一瞬ビクついてこちらを恐ろしげに見た。
「俺だ、俺は敵じゃない。このゲームの状況を纏めたい。武器は君に渡す。だから俺を信じてくれ!」
そういいながら武器の銃口側を持ちながら、彼に銃を渡した。
「どう……いうこと。」
「説明したいけど、まずみんなを集めるのを手伝ってくれ。そのあと移動しながら内容を話すから!」
そういいながら、彼を連れてみんなを探す。
そして、彼と一緒に同期のメンバーを集め始めた。
会ったメンバーはみんな脅えたり動揺していたりしていたが、彼と俺が仲間であること、俺は彼に武器を渡していること、俺にはみんなと戦う意志がないこと、また時間がないため急いでいる、などを説明してなんとか同期を集めた。俺と同じことを考えていた奥田が何人かを集めてくれていたため、人数は意外と早く集まった。
「1,2……俺を含めて7人か。木村と宮森と火多が近くに見当たらない……、とりあえず今はもうこの場は危険だ、少しでも安全な場所に移動しながら説明する。」
人があまりいない場所に移動しながら説明する。
「まず、俺は敵じゃない。信じてほしい。そして、みんなもそれぞれ敵じゃない。味方だ。」
それぞれから少し安心した声が聞こえた。だけど一人亀田が口を開いた
「だけど五十一人だけしか生き残れないって……、みんなが敵だって……」
そのとおり。俺もそこで一度引っかかった。だけど、違う。これはそういう戦いではない。
「そう。定員五十一人の狭き門だ。だけど同期十人が入る隙間は十分にある。その広さは五倍と言い換えてもいいんだよ。」
そこで奥田が言葉を加えた。
「一人でこの中を生き残る強さがある奴はいい。だけど俺達にそれだけの力はない。みんなで力を合わせて立ち向かう。別に戦いたくない奴は戦わなくていい。俺達の後ろで敵を見つけてくれるだけでも立派に戦っているってことだ。みんなで生き残る。誰も欠員を出さない。一つに結束して、こんな馬鹿げた物なんて乗り切ってみせよう。」
いいたいことを全部言われた間があるが……、そういうことだ。これは、言い方は悪いが、ある程度まとまった力を見出すための審査なのだろう。一人で十分力を持っているものはそれで生き残る。だが、そうでないものは力を合わせなくては生きていけない。バラバラであったならば各個撃破だ。だが、一つのまとまりとして行動するならばそれは一人で行動するよりも強固になる。そして、その集団の中で各々個人における統率力や集団行動力などが試される。これを考えた人間は腐ってはいるが、理には適っているのだ。まだ、いくつかの懸念と問題点と疑問が残っているのだが……――、一つずつ対処し、解決していく他にどうしようもない。
「奥田、この中で俺達を引っ張っていってくれないか。」
船頭多くして船山に登る。リーダー的な役割は一人で十分だし、自分がそれをできるとは思わない。俺の役目は、そう――
「だが、……――」
「頼む。さっきの言葉は俺には言えなかった。俺もできる限りのサポートはする。頼む……―」
責任から逃げた。そういわれても構わない。俺には、みんなを、背負えない。もし背負ったとしても命の重さに、その重圧に負けて、俺は多分、失敗する。だから、本当に――頼む。
そう、俺は頭を下げた。それを分かったのだろう。彼は覚悟をした目をして、
「分かった。最低限、みんな俺の言うことには従ってほしい。そしてみんなで生き残ろう!」
そうして俺達は一つのグループを作り、この馬鹿げた審査とやらを無事に抜けるために活動し始めた。
to be next...
動揺する者。箱を開けてこれが現実であることを知る物。逃げ出す者。もう既に周りからは一つ、二つと銃声が聞こえ始めた。その中で親会社の連中は結束したかのように集団になって行動し始めた。
(ヤバイ、どうする? どうすればいい? どうすることがベストだ? 動揺する? それは論外。とりあえず箱は空けてみろ。銃と地図が入ってた。これが現実だな。OK。集団で逃げる? どうやって? 周りは敵だらけだ。 周りはみんな敵で、……? 違う。落ち着け。周りがすべて敵? 前提条件をクリアしろ。集団で行動していた奴らがいた。皆が敵同士ではあるが、手を組んではならないというルールはない。一人が生き残るというルールでもないのならばその手段は有効だ。ならば誰と組む。見知らぬ奴らと組むことなどできない。少しでも、気が許せる奴らとならば――!)
思いついた瞬間に周りを見渡した。同期の連中はまだ近くにいる。ならばまず、彼らを仲間に引き込む!
すぐ近くで呆然としていた亀田を見つけた。
「亀田、大丈夫か! 怪我はないか?」
そう、声をかけた。その瞬間一瞬ビクついてこちらを恐ろしげに見た。
「俺だ、俺は敵じゃない。このゲームの状況を纏めたい。武器は君に渡す。だから俺を信じてくれ!」
そういいながら武器の銃口側を持ちながら、彼に銃を渡した。
「どう……いうこと。」
「説明したいけど、まずみんなを集めるのを手伝ってくれ。そのあと移動しながら内容を話すから!」
そういいながら、彼を連れてみんなを探す。
そして、彼と一緒に同期のメンバーを集め始めた。
会ったメンバーはみんな脅えたり動揺していたりしていたが、彼と俺が仲間であること、俺は彼に武器を渡していること、俺にはみんなと戦う意志がないこと、また時間がないため急いでいる、などを説明してなんとか同期を集めた。俺と同じことを考えていた奥田が何人かを集めてくれていたため、人数は意外と早く集まった。
「1,2……俺を含めて7人か。木村と宮森と火多が近くに見当たらない……、とりあえず今はもうこの場は危険だ、少しでも安全な場所に移動しながら説明する。」
人があまりいない場所に移動しながら説明する。
「まず、俺は敵じゃない。信じてほしい。そして、みんなもそれぞれ敵じゃない。味方だ。」
それぞれから少し安心した声が聞こえた。だけど一人亀田が口を開いた
「だけど五十一人だけしか生き残れないって……、みんなが敵だって……」
そのとおり。俺もそこで一度引っかかった。だけど、違う。これはそういう戦いではない。
「そう。定員五十一人の狭き門だ。だけど同期十人が入る隙間は十分にある。その広さは五倍と言い換えてもいいんだよ。」
そこで奥田が言葉を加えた。
「一人でこの中を生き残る強さがある奴はいい。だけど俺達にそれだけの力はない。みんなで力を合わせて立ち向かう。別に戦いたくない奴は戦わなくていい。俺達の後ろで敵を見つけてくれるだけでも立派に戦っているってことだ。みんなで生き残る。誰も欠員を出さない。一つに結束して、こんな馬鹿げた物なんて乗り切ってみせよう。」
いいたいことを全部言われた間があるが……、そういうことだ。これは、言い方は悪いが、ある程度まとまった力を見出すための審査なのだろう。一人で十分力を持っているものはそれで生き残る。だが、そうでないものは力を合わせなくては生きていけない。バラバラであったならば各個撃破だ。だが、一つのまとまりとして行動するならばそれは一人で行動するよりも強固になる。そして、その集団の中で各々個人における統率力や集団行動力などが試される。これを考えた人間は腐ってはいるが、理には適っているのだ。まだ、いくつかの懸念と問題点と疑問が残っているのだが……――、一つずつ対処し、解決していく他にどうしようもない。
「奥田、この中で俺達を引っ張っていってくれないか。」
船頭多くして船山に登る。リーダー的な役割は一人で十分だし、自分がそれをできるとは思わない。俺の役目は、そう――
「だが、……――」
「頼む。さっきの言葉は俺には言えなかった。俺もできる限りのサポートはする。頼む……―」
責任から逃げた。そういわれても構わない。俺には、みんなを、背負えない。もし背負ったとしても命の重さに、その重圧に負けて、俺は多分、失敗する。だから、本当に――頼む。
そう、俺は頭を下げた。それを分かったのだろう。彼は覚悟をした目をして、
「分かった。最低限、みんな俺の言うことには従ってほしい。そしてみんなで生き残ろう!」
そうして俺達は一つのグループを作り、この馬鹿げた審査とやらを無事に抜けるために活動し始めた。
to be next...
by raityoueu
| 2009-03-31 23:56
| ボケてもいい日